とある一軒家の遺品整理

酒井宏幸

September 5, 2024

とある一軒家の遺品整理


とある一軒家の遺品整理

とある一軒家の遺品整理を行いました。そこは昔ながらの風情を感じさせる、大きな家で、離れや屋根裏があり、何世代もにわたって家族が暮らしてきた歴史が刻まれているようでした。

今回のお客さんからの依頼は、これで2回目になります。1回目の依頼では、お客さん自身がある程度荷物をまとめてから、不要なものだけを当社に依頼してきました。私たちは、その時も丁寧に作業を行い、お客さんにご満足いただけたようです。

2回目の依頼の理由は、1回目の作業で家全体の荷物の状態を確認できたこと、そして何よりも、当社の料金や仕事のやり方に満足していただけたことが大きかったようです。「是非とも、今回もお願いします」との言葉をいただき、私たちもますます頑張ろうという気持ちになりました。

お客さんの目的は、家の建て替えでした。小さいころから住んでいた祖父の家を解体し、新しい家を建てたいとのことでした。しかし、解体業者の見積もりでは納得がいかなかったようです。もちろん、私たちも解体業者よりもコストを抑えられるよう、人件費や作業日程を細かく調整しながら仕事に取りかかりました。

家全体の整理作業に入ると、思いもよらない物が次々と出てきました。状況的に、お客さん一人ではとても手が回らないほどの荷物があり、まさに一軒家全体がタイムカプセルのようでした。中でも、2階は全く手付かずで、屋根裏のような天井の高さが特徴的でした。2階全体がすべて屋根裏のような構造で、長年の間に積み重なった荷物が、まるで家の一部のように静かに佇んでいました。

作業スタッフがどんどん荷物を仕分けていき、ついに奥の部屋にたどり着きました。そして、そこで発見したのは、驚くべきものだったのです…

それは、白骨化した猫でした。

どうやらお客さんは猫を飼っていたわけではなかったようで、野良猫がどこかの隙間から入り込み、住み着いていたようです。猫にとっても、この家は心の拠り所となる場所だったのかもしれません。

空き家だったとはいえ、何年もの間、この家でひっそりと生き、そして息絶えていたのでしょう。私たちはお客さんに線香を用意してもらい、簡単ではありましたが、その猫のために供養を行いました。

祖父が住んでいた家、そして野良猫が最後の時を過ごした家。その場所から、新しい家族が新しい命を育んでいくのでしょうか。私たちは、そうした家の歴史と命の連鎖に思いを馳せながら、作業を終えました。

この家が、新たな物語を紡ぎ出す場所として再び息を吹き返すことを願っています。

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