遺品整理の見積もりでの不思議な体験

酒井宏幸

November 25, 2024

遺品整理の見積もりでの不思議な体験


遺品整理の見積もりでの不思議な体験

ある日、遺品整理の見積もりに伺いました。そこは一人暮らしの方が住んでいたと思われる1Kほどの小さな部屋でした。部屋全体はこぢんまりとしており、まるでその方の人生が凝縮されたような空間でした。

依頼主の方は、先日亡くなったばかりの親族のために、できる限りのことを自分たちで行ったものの、これ以上は業者に頼みたいとのことで、私たちに依頼されました。遺品整理の見積もりは慣れた仕事ですが、この日は少し違和感を覚える瞬間がありました。

いつもの通り、部屋の隅々までチェックをしながら、見積もりを開始しました。家具や荷物の量を確認し、処分にかかる時間や費用を計算していると、ふと、部屋の一角に目が留まりました。

一人暮らしの部屋に、なぜか大きな仏壇が置かれていたのです。

仏壇は、その部屋の中でひときわ異彩を放っていました。そこには、一枚の若い方の写真が飾られていました。写真に写っているのは、20代と思われる青年の姿。その方が、この部屋で亡くなった方なのだろうか、と一瞬考えました。

しかし、何か違和感を覚えました。その写真の顔に、見覚えがあったのです。

ん…でも、どこで見たことがあるのだろうか。記憶の中を辿っていると、ある事実に気づきました。

依頼主の写真と、そっくりなのです!

一瞬、自分の目を疑いました。まさか、目の前にいる依頼主が、すでに亡くなっている…?そんな馬鹿なことがあるわけがないと、自分に言い聞かせましたが、どうしてもその写真と依頼主の顔が一致してしまいます。

驚きと混乱の中、依頼主に確認すると、どうやらその写真は、依頼主の双子のお兄さんのものだったのです。彼は若くしてこの世を去り、その仏壇が弟である依頼主の部屋に置かれていたのでした。

双子であるがゆえの不思議な縁に、思わず言葉を失いました。仏壇に手を合わせながら、この世の不思議な巡り合わせを感じずにはいられませんでした。

これまでに多くの遺品整理を経験してきましたが、このような出来事は初めてでした。そして、二度と同じような経験はないだろうと思います。

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